風"s・風のたよりオンライン版


2003/6/1 No.93

風のたより93号

 5月19日東京で、フェア・トレードショップの集まりがあり、辻信一さんの話しを聞く機会がありました。テープ起こしではないので(メモです)違いがあれば教えてください。
 辻信一(つじしんいち)さんのプロフィールは最後に紹介しています。

■ 二つのタイムフレーム
 (1)産業経済時間と(2)自然の時間があり、生命誕生から、命の流れの中に私たちがいる空気・水はかなりの勢いで拡散、循環している。恐竜の吸ったりはいたりした空気がここにもあり、延々と同じ空気・水を共有し、巨大な輪を作って循環している。生物には、進化の時間があり、固有の生き物の時間をもっている。植物も死骸となって他の命へとつながっていく。
■ ぶつかりあいの危機から生まれた「スロー」という言葉
 時代の危機は(1)が(2)を圧迫し正面からぶつかりあっていること。生命界が成り立ってきた時間を追いつめている。
 「スロー」は、ぶつかりあいをなんとかしなければならないといういうところから生まれ、自然のタイムフレームに、ぶつからないよう圧迫しないようタイムフレームをデザインし直さなければならない、人類の生存の危機から生まれた実に重い言葉です。
■ 深刻な温暖化現象は絶望的?
 温暖化が種の絶滅を深刻に、環境問題も深刻にする。この温暖化も(1)のタイムフレームに関係して、CO2排出スピードが、元素が持っている吸収する力を上回っている。その為地球の温暖化現象が始まり、氷がすごいスピードで溶けている。グリーンランドの氷がすべて解けると7m海面上昇する。米は壊滅する。私たちは食を失う。
 生物は適応する能力はあるが、生態系のあいた穴を埋めるものが追いつかないのでこれまたすごい勢いで種が絶滅している。ひとつの穴があくとどうなるかわからない。100万年かかるかもしれない。経済のため仕方がないとやり続けてきたけれど、やめようとしていない。本気で取り戻そうとしていない。絶望的で希望はないのか?
■ 「スロー・イズ・ビューティフル」
 あえて言えば第3のタイムフレームを付け加ええる。それは「文化」であると希望を込めて言いたい。フェア・トレードは文化活動でもある。「文化」は(1)と(2)のタイムフレームの中立ちとなって調整して、二つが調和するように機能する調整役ピースメーカーだと思う。
 文化が機能を果たせなかったら(1)は巨大化し(2)のタイムフレームを滅ぼす。このようなことは、かってなかったこと。自然資源を使いながら、社会を経営し、持続可能な仕組みは、文化として組み込まれていた。本当の意味での文化が衰弱している。
 いまや文化は、大企業とメディアの中の手にある。広告とは必要のないものPR。自分が生きるべき姿を、望むべき姿を求め経済成長をし続ける仕掛け。楽しさ美しさへやすらぎは、人間にとっての基本的習慣が入れられている器です。
 文化のタイムフレーム=ピースメーカーは実は手元に残っていなくてはじめから造り直さなければならない。文化再生能力も捨てたものではないのではないか?希望があるのでは?
■ キーワードは「雑」、時間をかけて共に生きる
 無視されているもようなもの「雑穀」。今は米.・小麦・トウモロコシがほとんど。
 「雑事」とは、お金を生みださない生産性に結びつかないこと。雑事全般は共同体や地域。「雑木林」「雑草」、本来、重要なもの家族との団らん、恋人との時間、雑談、子育て、擁護、介護。経済によくないから老いも哀しいという考え。これらは、みんな効率的でない。人生の真ん中に「スロー」を置きたい。人が人と共に生きるのは時間がかる。待つことが不得意になった。待つことの価値がおとしめられている。人間と生物、農業・林業・養殖業は生き物固有の時間を活かせない、待てない。ニワトリの時間を待てない。鮭の固有の時間を待てない。
 それらの奪った時間で何が起きるか?自然の劣化、混とん、不安定、暴力化、家畜が暴力化する。しっぽをかじる豚の歯を抜くしっぽを取る。
■ 環境の危機=戦争の危機から生まれた熱い視線は?
 9.11からの暴力の連鎖は、いま話してきたことと無縁ではない。根は全く同じ。表現の違いだけです。環境の危機=戦争の危機。今、世界中で模索しているのは3つ。
 「エコツーリズム」「フェア・トレード」「地産地消」世界の共通語で、熱い視線を感じています。文化を取り戻すこと、持続可能な社会を創ること、これは同じことをしている。
 貧しい村はわれわれが学ぶことが多い。なぜならまだ文化のタイムフレームがある。
 人々が楽しそうにイキイキしている。文化的には豊かな時間をもっている。文化的な支えを持って支えられた自分を持っている。
■ フェア・トレードは文化的時間につながっている
 フェア・トレードの品々の中に文化的時間をたたえている。これはわれわれにとって重要、文化と作り直していくのにますます重要です。でもいばり出していることに違和感を感じています。公正ということは矛盾を抱えている。顔の生きざまが見えてさえいればまずまずの関係とすればいい。謙虚さが必要である。アメリカでは成績の順序として1番目はエクセレント、2番はグッド、3番目がフェアーでぎりぎり合格ということ。落ちなくってよかったということ。
 フェアとはどういうことか? あなたと私の間で刻々決めてくこと。地域づくりでどんな役割を果たせるか? トレードだけに依存するのは危うい。ブラジルとコーヒーを取り引きしている中村隆市さんは「自分たちの食べ物を作ってください。結果としてコーヒーを輸出することが必要なくなることがきてもそれでいい」と言う。トレードは国際だけでなく、地域のフェア・トレードもあり得る。絶対ということで推し進めるのは疑問です。
■ 経済の陰陽
 経済も陰陽があり、経済もお金も極陽化している。陰のエネルギーが活性化するとバランスがとれる(地域通貨)。現在日本でも400の地域通貨がある。どう考えてもおかしい経済システムの中、日本でも世界中でも広がっている。
■ 「100万人のキャンドルナイト」
 環境庁も参加、東京タワーも20時〜22時電気を消します。大阪城ではローソクの中でコンサート。それぞれの人、それぞれの思いで「ピースローソク」を!原発を超えよう!550万台自販機が24時間動かされている。その電力は原発の一基になるとか・・・?
 持続可能な暮らしを!暗闇のなか、ローソクを通じてつながり、暗闇の輪、自主停電の輪を!
■ 辻信一さんのプロフィール
 文化人類学者・環境運動家。明治学院大学国際学部教員。環境省「環境の国くらい会議」メンバー「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表。NGO「ナマケモノ倶楽部」の世話人を務める他、数々のNPOやNGOにも参加しながら「スロー」というコンセプトを軸に環境=文化運動を勧める。http://www.sloth.gr.jp/

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