風"s・風のたよりオンライン版


2003/2/20 No.83

風のたより83号

■ ピープルツリーの予約会
 今回で4回目になると思う予約会。2001年〜2002年秋冬カタログから予約会がショップ向けに始まった。ェアトレード(FT)団体のリスクを少なくするため、またショップにとって品切れのないように、また早く商品入手して、新カタログの商品展開をするといういろいろな方向を考えて始まった予約会。ショップには、支払いの負担がまとまって一時のしかかることと、お客様の反応を見ながら注文をかけたいところ、予想で注文をしなければならないつらさがあるのだけれども、フェアトレード団体だけに負担をかけてはいけないという思いから、参加して予約をしています。
■ 本格発注の前に意見を取り入れる
 見本をつくるまでにも大変な作業がある。今回の予約会での商品はフェアトレードカンパニー(株)[商標:ピープルツリー]が1年前の2月ごろから取り組んだもので、やっと見本ができあがり、ショップの人にむけて今日の予約会となりました。
 アームホールがきついとか、男性用のカーディガンも欲しいとか、ミドル用のサイズで、ゆったりと着れるサイズを用意してほしいなど、直接要求を出せるのがこの会のいいところです。
■ 予約会に参加できる幸せ、全国に友達!
 店を抜け出し上京できるのは、地理的な理由もふくめ一部のショップです。
 風"sは何とか店を頼み参加できるので、同窓会のように他のショップの人と会う楽しさもあり感謝しています。今回は熊本の「らぶらんどエンジェル」さんと一緒にお昼を食べました。お互いにカタログなどで写真が載り顔を知っていても、直接話すのは初めてでした。行動派の彼女は、3月2・3日の児童就労ワークショップが金沢にあることを伝えるとすぐ参加とのこと。また会えます。帰りは大阪の「INE(あいね)」さんと新幹線のなかで2時間会議のようなもの。なかまがいるこころ強さを感じます。全国に友達ができて嬉しい!
■ ムラコレクティブのクスム・ティワリさんが...
 インドの伝統的な手織りと草木染めの技術を守るインドの生産者団体の「MURA:Music of the Rural Arts(農村アートの奏でる音楽)」の代表の女性が来日予定でしたが今回は事情ができ、お話を直接伺うことはできませんでした。
 彼女は、フェアトレード−未来を紡ぐ人々−エッセイ集(900円)に原稿を寄せています。一部紹介します。
□ フェアトレードへの道のきっかけ
 私がフェアトレードと関わるようになったのは、長年にわたって多くの問題や日々周りで起こる出来事を見聞きするうちに、自然に導き出された答えでした。私は社会の「持てる」側に属しており、表面上暮らし向きもよく、快適なモダンライフ、十分な教育、楽しく仲の良い友人たち、二人のかわいい子どもたちがいる小さいながらも温かい家族...私を幸福にしてくれるはずのもの、全てがそろっていたはずでした。でもそうではなかったのです。
□ 「襲われる」ような衝撃
 毎日、冷房のきいた車で街中を走るたび、私はまわりの光景に、文字通り「襲われる」ような衝撃を受け、その都度多くの疑問が心の中に沸き上がってきました。車が、信号とりわけで立体交差の近くで止まると、やせこけた大勢の女性や子どもが、いっせいに車に殺到して、食べ物やお金を乞うのです。それが早朝でも夜遅くでも、真昼の太陽が照りつけるなかでも、あるいはモンスーンの冷たい雨が降るなかでも、彼らはいつもそこにいるのです。
 ぼろを着ておなかを空かせて。そのほとんどが幼い子供を連れた女性たちです。私は一度も彼女たちの目をまっすぐに見ることはできませんでした。多分それはすべてを持っているという後ろめたさから、あるいは、彼らの存在を認めたくなかったからかもしれません。
□ さらに驚いたことには
 物乞いの女性たちの夫と思われる男たちが、その近くに集まって、トランプに興じているか、動けないほどに酔っぱらっているのです。こうした光景に、日々私は動揺し、混乱し、奇妙な空虚感に襲われるようになりました。重要な昼食会に出席せずに、そのまま帰宅するということもしばしばでした。
□ 家の中にも私を困惑させるもの
 帰れば帰ったで、家の中にも私を困惑させるものがありました。私の家で家政婦として働いている女性は、45歳になろうとしていましたが、台所で洗い物をし、掃除を済ませ、バスを乗り換えて次の家...6、7件の仕事をこなした後、にやっと自宅へ帰り、それから家族のための食事作りその他ありとあらゆる家事をこなすのです。そうして月末に彼女の手元に入る賃金はといえば、たった2000ルピー(約5,200円)。何かがおかしい、そう思いました。
■ 続きは本で...、またの機会に!
 まだ続きますが、またの機会に...。風"sにこの本がありますので、手にとって見てください。手織りのサリー生地で貼り付けられた美しいカバーと金の文字の表題が素敵です。
 また、ペルー・バングラデシュ・ネパール・インドネシア・ジンバブエ・ケニヤなど各国のフェアトレード団体の代表のエッセイが、フェアトレードを知るのに大切なメッセージがあります。
■ 途上国の「持てる」側と、先進国の「もてる」側
 ムラの代表クスムさんのように、「持てる」側の人でも、同じ国にいてこの不平等さに違和感を思う人もいます。先進国の私たちには、彼女が見たような日常的な場面に遭遇することはないけれど、先進国側でしかできない「持てる」私たちができることがあります。その一つがフェアトレード。彼女は言います。フェアトレードのことを...
■ 「途方もなく、信じられない」フェアトレード!
 「余りに話が良すぎて信じられませんでした。」と後半でクスムさんはフェアトレードのことを語っています。その「ムラコレクティブ」に今年2月スタディツアーで参加した人は、その仕事場のスピード感・リズム感にあふれ、違う糸に変える時も同じリズムで進んで行く作業に驚いたと話してくれた。職人さんたちは仕事ができて嬉しい、その布が売られて嬉しい、伝統的な草木染めや手織りの技術を活かすことができて嬉しいと、今のインド国内では安い化学染料などが主流のなか、手間暇かかる価値と、環境に配慮した手仕事の注文に希望を抱いていることを伝えてくれました。実際織りが素晴らしいです。職人技と思います。
■ 一方、長年取引団体「スキヴィス」はこの春注文中止
 ここ数年カタログに登場のパンジャビ。イカット柄、涼しい手織り布、草木染め、単価も入手しやすいなど、私自身も気にいっていましたが、何とも不良品が多かった。糸がかなり飛んでいたり、汚れがあったり、折りムラがあったり、フェアトレードカンパニーとしては再三「一緒に考えて製品をよくしていこう」と呼びかけても、相手からは「これ以上よくならない」との返事だったとのこと。
■ 作る背景と、着る背景の違い
 聞くところによれば、家内工業的につくる家庭環境は決してきれいではない。その状況が消費者は想像できない。また、生産者は消費者の生活は想像できない(全く!日本の整然さには全く驚くとインドから来た「コーラム・ツアーズ」のランジットさんは言った)。
 この開きを埋めるべく努力を続けながらも、今回の発注中止は、フェアトレードの難しさを語っているところだ。停止になりながらも、今回のスタディツアーを受け入れてくれている「スキヴィス」、どうぞ歩みよる努力をしてほしい。一方、私たちも、その生産者さんたちの私たちの今の暮らしを想像できないことを、想像してみようではありませんか?
■ ヨーロッパのフェアトレード
 フェアトレードカンパニーの代表、サフィアミニさんの話によれば、ヨーロッパ全体で2500のフェアトレード団体があり、一番多いスイスはボランティアさんが中心になっていて、さきごろクラロ(チョコレートを作っている)が150くらいの組合を作ったそうです。
 今元気なのは、イタリアとスペイン。イギリスでは食品が中心で17%がスーパーなどの市場で売られているということで、ショップの経営のむつかしさがあるようです。
 ロンドンの先日の「戦争反対」のデモの様子がビデオに収録されていました。フェアトレードについてのインタビューでは、どんなに人権が侵されているのか、ショックを与えるほどの情報を流し、生活を想像できなければ、フェアトレードの発展は難しいと答えた人がいた。
 ・・・と報告は終わります。
 予約会から無事に帰ることができ、ありがたいと思います。刺激のある、フェアトレードに関わる人々との出会いです。韓国の地下鉄火災の惨事など思うと、日常のなかで何も起きなかったありがたさを、今日一日を感謝しします。まだまだ続きます。「ネパリ展示会」や「松井やよりさんを偲ぶ会」や「児童就労ワークショップ」や「沖縄スタディツアー」・・・

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