風"s・風のたよりオンライン版


2002/12/1 No.77

風のたより77号

 今年は秋が短い、というより残暑から一気に秋深くなり、冬がすぐやってきたという思いがします。街の街路樹の紅葉も「はっ」とする紅葉で、葉っぱたちも「キュン」と一気に染まったようです。店までの川沿いの歩道も、「銀杏の木がこんなにあったのかしら?」と思うほど黄色が鮮やかで、その木の下の黄色の絨毯は厚くふわふわでした。びっくりした1日でした。
◆ 松井やよりさんのある告知
 12月、また1年を振り返り、新しい年に夢を希望をかけるそんな年末を私は好きです。今年の年末に「アジア女性総合資料センター」のスタディツアーに参加しようと心に決めていたのですが、その代表の松井やよりさんが10月14日に自ら皆さんにがん告知をし、闘病生活にはいり、その計画が私のなかで流れてしまいました。是非、松井さんと一緒に例え10日間でも行動をともにしたいと思っていたのです。もっともっともっと話しを聞きたかったのです。
◆ 励ます会に参加して
 10月28日「励ます会」が東京で行われ、日帰りで参加してきました。「次の夢すなわち『戦争資料館』をつくることを思いつくことにより眠れるようになった」という話しも直接、聞くことができました。女性国際戦犯法廷の時の資料だけでも膨大です。ぜひ実現に向け歩き始めることを希望します。また松井さんのいままでのエネルギーで回復の道を歩まれることを祈っています。みなさんも是非彼女の回復をお祈り下さい!
 当日は予想以上の参加者で、途中で会場に入れなかった人と、入れ替わるという大変な会になりました。急な誘いでしたが、全国から400名以上の方達が集まったようです。世界各国からもメールが寄せられ紹介されていました。
◆ ひたむきに生きる人
 その純粋さに私は昨年夏魅了されました。可愛いとさえ思えるけれど、偉大な人です。愛知淑徳大学夏期講座に参加し3日間松井さんの講義を受けたのです。
 以下は、今年またその夏期講座に参加してのメモです。

**********************************************************************

2002年8月5〜7日の3日間の松井やよりさんの夏期講習を受けて

■ 昨年に続き2回目の夏期集中講座受講
 昨年は聞きっぱなし、今年はまとめよう! と思っての受講でしたが、日は流れ、今日が最終日で、いまからどれだけまとめられるか...。松井さんとの出会いは5年くらい前に名古屋国際センターで松井さんが基調講演、私が3人のパネラー内の一人として参加。1時間ほどの彼女の話は短すぎて物足りなく、「もっと聞きたい!」と思っていました。
■ 女性国際戦犯法廷を企画した人
 昨年夏、愛知県の長久手にある愛知淑徳大学の女性学の夏期集中講座で3日間彼女の講座が受けられる!と大いに期待して参加しましたが、それ以上。尊敬する人に出会えた!と周りの人に言わずにはいられないほど、その出会いが嬉しかった。女性国際戦犯法廷を企画・開催した主と聞いてまたまた感激、その偉業にひれ伏したいほどの思いでした。
 そんな彼女といっても年齢を聞いてびっくりあと1年半で70歳という! 14年もの先輩なのです。彼女曰く、苦しいなかでの様々な人との出会い、その友達とのの関係で元気を取り戻している。彼女の話から語られる世界の運動家の何人かの人は、命がけで運動をしている。実際命を落とした人もいる。松井さん自身も命がけだと思う。私にはとてもできない勇気と実行力の持ち主だ。
■ 3日間の幸せなアッシーミドル嬢の私
 夕方に終わった講義のあと、初日は本屋を尋ねられ栄の丸善に横付け、翌日の待ち合わせ場所も丸善とかで横付け、今日は県美術館へ横付け! といいたいところだが、あやうく進入禁止のところを入りはじめバックした次第。タクシーはびっくりしてライトで合図した。
 はじめ彼女を送っていってもいいけれど....と思いはしたものの、とても大切な人だから、もし交通事故でもあったらどうしよう?との不安もあって躊躇しました。が結果、3日間アッシーミドル嬢をしました。隣の席でいろいろと話を聞く事が出来、なぜ、今の彼女があるかの原点にも触れた気がしました。身近にいろいろ話しが出来た幸せに浸っております。私なりに彼女が伝えて行こうとしていることを勉強し、伝える風"sになりたいと思っています。
■ 感性・知性・想像力・行動力から未来をつくる
 この地球上の悲しい出来ごと、この現実を自分の問題として考えられる感性をもち、それはなぜ起こるのか、どうして起こるのか?知性をもって追求。そうではない世界、望むべく世界を想像し、行動する。今のような世界でない、オールタナティブな世界を想像し、未来を作っていく。これはガイアシンフォニーという映画で監督龍村仁さんが言ってることと同じだな〜〜と思いました。みんなで想像すれば、その方向に地球は向って行くと....。地球の心はそれぞれの人のこころに潜み、思いをつなげればおおきな流れになると私も思う。
■ 奪う側の日本は、喜びに満ちたものなのか?
 南と北、途上国と先進国、ますます貧富の差が広がる今の経済のしくみ。北であり先進国の日本は、南であり途上国である国々を苦しめることによって成り立っている。
 この経済の仕組みを学び、見直して行く、それが私達日本の子どもたちの未来へ、世界の子どもたちへの未来へつながっていく。つなげて行く責任が大人にある。しかも先進国に位置する、また西洋と東洋の間の立場のような日本、被爆国の日本、憲法9条を持つ日本、いろいろやることがある。日本でしかできない事がある。
 でもそれには、一人一人が思いを持って生きていなければ感性も知性も想像力も行動力も養われない。日本の子どもたちの行動や社会での動きはさみしくなるような、そんな気分だ。勿論大人の責任はある。大人がそれぞれに一人一人の思いをもって生きていれば、子どもたちも希望や夢を持つだろう。人として生きてきた喜びをもてるような生き方を大人が示そう!
 松井さんおっしゃるに「人との関係を豊かといい、貧しいのは物とカネ」おおいに人との関係をつくり、多くの尊敬できる人に出会いましょう。
■ 今を生きる、その人の生き方、それぞれの源流
★ バーバラ・リーさん
 2002年8月6日毎日新聞夕刊に米大統領の報復戦争権限に一人「反対票」を投じたバーバラ・リーさん同行記の最期のところに、落合恵子さんとの対談で、落合さんの問い「勇気の源」に答えて、「私はアフリカ系アメリカ人。祖先は不正な行為でアメリカ大陸に連れてこられた。その思いが私の正義感の根底にある。父母は正義感や平等意識が強く、私は「正義をなせ」と教え込まれた。私の母はわたしを生む時陣痛で病院に駆け込んだが、黒人だからと入院を拒否された。手術が遅れ帝王切開ができず、普通の分娩方式となった。だから私の目の周りにはずっと傷が残った。私は戦いのなかで生まれてきたのです。」とありました。
★ パトリシア・セラーズさん
 6日、講座のなかで聞いた話に、旧ユーゴ国際戦犯法廷の法律顧問であるパトリシア・セラーズさんになぜこの民衆の裁判(女性国際戦犯法廷)に参加して下さったか?との問いに同じような答えがかえってきたと聞いたばかり。つまり彼女は奴隷の子孫だから、日本軍の性奴隷制はキチンと知りたい。奴隷については、自分の生涯のテーマだからとの答え多層です。
★ 松井やよりさん
 中区の丸善までお連れする車中での話しのなかで、松井さんのお父さんは神父さんで中国での戦時中のことを、中国から帰ってきた小学生だった彼女に詳しくはなしたそうです。軍隊のなかでの理不尽な行動や、中国大陸で行った日本軍の野蛮な行為(桶をもってこさせ首をはねたり...)の話しなど。
 そんななかで育った彼女にしてみれば、戦争を正当化したり、また何も言わず静観したりなぞする人の気はわからない。自分の体の一部のことなのだから、慰安婦問題も他人事ではなく、やがて死んでいく年齢の元慰安婦にさせられた彼女らの無念の思いになにか手だてはないものかと考えた末の民衆法廷。あのエネルギーがわかったような気がしました。
さて8月5日の松井やよりさんの講義より

■ グローバル化と女性の人権

★グローバル化とは何か?
 1917年のロシア革命、1949年の中国が独立、社会主義の誕生。貧しい労働者や農民によって資本主義に対抗して生まれた。国家が計画した、計画経済によって、国家が締付け、反対する人を弾圧し、経済がうまくいかなくなった。一番の問題は経済がうまく稼働しなかったこと。
 1980年代に、ロシア・中国・東欧・ベトナムなど社会主義が破綻し、資本主義に移行し始めた。
 1990年代から今の経済の仕組みになってきている。資本主義と移行主義の二通り。
 グローバルは「地球」という意味で、地球全体が今のような仕組みになっている。市場経済になった。これによって何が起きたか? どのような問題が起きたか?
 世界の女性達はこれに変わる第3の経済の仕組みはないだろうか?と考えている。

★ 問題は、大きな企業が競争に勝ってしまう。競争原理で動く。先進国が途上国より強い立場になる。多国籍企業(注1)は世界の機構3本の柱とIT情報を利用しながらグローバル化を推し進めている。

 その1=世界銀行
 その2=国際通貨基金(IMF) お金を貸すにあたっていろいろな条件を付す。
 その3=世界貿易機構(WTO) 世界の貿易の仕組みを全部支配。

 (注1) 世界で約100の企業が競いあっている、先進国に拠点を置き、活動が国を超える巨大企業。日本ではソニー・ナショナル・トヨタ・ホンダ...、アメリカでは、マクドナルド・コカコーラ...多数。メガ競争は、他の表現でいけば「底辺に向っての競争」であるとあるアメリカ人の言葉。より安い賃金、労働条件を良くしないなどの競争ともなる。最低の中でも最低をいくのが途上国の女性達である。
 例として、昔の日本でも「女工哀史=岩波文庫」にあるように貧しい農村の女性が奴隷のように働かされ製糸工場を支えた時代があった。
 途上国では近年のこと、1993年中国広東省到麗(ジリ)のおもちゃ工場での漏電による火事で、女の子87人が焼死した。おもちゃを盗まないよう、悪い条件なので逃げ出さないよう、鉄格子がはまっていたり、戸が閉まっていたりしたため焼け死んだ。大やけどして助かっても何の保証もなく村に返された。これは、カナダの会議で香港のグループの「おもちゃキャンペーン」による人間の命をおもちゃより軽くするな!という運動を起こしたことにより知らされた。
 これより半年前、タイのカダールで187人が焼死。最年少は9歳。これを機に労働条件をよくして行くことが始まった。
 バングラデシュの縫製工場でも火事があった。(ピープルツリーでも紹介されている。2000年8月に17人の焼死。この10年間に246人が同様の事故で亡くなっているという) 続く...はずである。

= 後書き =
◆ フェア・トレードを行う根元の話
 昨年のこの講座で国際女性戦犯法廷ビデオを見ることができ、またグローバルーゼーションの流れと女性の人権というテーマは、まさにフェア・トレードを行う根元になるものなので大変興味深く聞くことができました。 残念ながら、そのメモをきちんと残さず1年を経過しました。今回こそ!と思い再度の参加。昨年に引き続き参加の人が他に二人、1年ぶりの再会となりました。
◆ 新聞では、知らされない世界がある
 今回、昨年の復習もありますが、松井さんが朝日新聞の記者でシンガポールの特派員だった時に取材した記事が「ボツ」になった話しを2回聞きました。実際はもっともっとあったのでしょうが、やはり企業である新聞社は日本の読者が何をのぞんでいるかで記事を振り分けている。つまり新聞からの情報だけでは知らない世界のことがいっぱいあるということでした。現在松井さんは3つのNGOの代表です。そのうちの一つに「アジア女性資料センター」があり年4回出される会報誌は2000名くらいの会員だそうです。知らされない情報がいっぱいです。

02/8/7 土井ゆきこ


[[風のたよりのページへ]]
[[トップページへ]]

電子メール:huzu@cap.bekkoame.ne.jp
ウェブページ:http://www.bekkoame.ne.jp/~huzu/
風の交差点 風"s