風"s・風のたよりオンライン版


2002/6/3 No.70

風のたより70号

 昨年01年2月24日東京シンポジウムにて

 オーガニック・コットンを提供している生産者団体VOFAの事務局長さんの昨年聞いた話です。強烈な印象をこの講演でうけました。
 化学肥料・農薬そして種子まで一手に販売する多国籍企業の大きな大きなアグリビジネスは、「ばけもの」のような気がしました。人の手によるものなのかと疑問を持つほどです。それほど利益を得て一体どうするつもりなのか、不思議な気がします。

 今その「ばけもの」が愛知県の地で、愛知県農業総合試験場と日本モンサント社が共同で遺伝子組換えのイネ「祭り晴」を開発して実用化に向けて研究を進めているとのことです。またこのイネを厚生労働省に申請予定であるというのです。花粉の飛散という自然界で起きる影響を考えると、どうしても中止を叫びたい。インドの話だけではない。日本も同じことがおきようとしている。しかも稲という大切な私達の主食をねらっているのです。

まずはカラスパーカル氏の熱いメッセージを!

○ 基調講演:シリラム・カラスパーカル氏
 私は、シリラム・カラスパーカル。「ヴィダルバ有機農家組合(VOFA)」の事務局長を務めています。インド中央部にあるマハラストラ州の東北地方、ヤバトマルで活動 しており、私自身もここの出身です。
■ カラスパーカー氏の故郷は------
 ヤバトマルは1年中暑く適度な降水量があり、平坦で豊かな土壌は、綿の栽培にたいへん適しています。そのため、もう何千年もの間、綿の栽培が行なわれており、綿の原産地ともいわれています。
■ インドの綿の収穫は世界第3位
 インドの1998年の綿の収穫量は270万トンにもおよび、中国、アメリカに次いで世界第3位の綿産出国となっています。マハラストラ州は、そのインドの中でも屈指の綿生産地です。
■ インドのオーガニック・ コットンの生産は1%にも及ばず-----
 年間わずか1,200トンしかなく、全体の1%にも及びません。その1,200トンのうち10%をVOFAの農家が生産しています。 私の家は代々続いてきた綿農家で、もう300年もヤバトマルで綿を作り続けています。
■ 土に畏敬の念を持つ父
 私の父の信条は、土に対して尊敬の念を抱くということです。1950年代までは、ほとんどの農家が何百年もの間ほとんど変わらない伝統的な農法を受け継いでいました。
■ VOFAは1995年設立
 VOFAは有機農業を支援するために1995年設立されました。インドでオーガニック・コットンのプロジェクトを立ち上げたのはVOFAが初めてです。設立にあたってはドイツ政府の支援を得 ましたが、やがて、オーガニック・コットンを買ってくれる海外のバイヤーから協力を得て、活動を順調に続けることができるようになりました。
■「アシシ・ガーメンツ」縫製工場との連携
 その後、VOFAはオーガニック・コットン製品に関わる他の組織とも連携するようになりました。「アシシ・ガーメンツ」は綿製品の縫製を、日本の「フェアトレードカンパニー」はデザイン、マーケティング、そしてこのプロジェクト全体の資金援助を担当しています。耳や口の不自由な障害を持つ人々も一緒に働いています。
■ 収穫量は低いオーガニックコットン
 オーガニック農法による栽培では、慣行農業による栽培に比べて単位面積当たりの収穫量は少なくなりますが、高価な化学肥料や農薬に金をかけなくてもよくなります。しかも、オーガニック・ コットンという付加価値によって価格の上乗せを得られます。さらに、農薬や化学肥料で土壌や空気を汚すこともありません。
■ オーガニック農法
 土壌が痩せないようにバナナなどと輪作します。オーガニック栽培されたバナナは慣行農業によるものより収穫量が2倍にもなるため、私たちの農場を見学する人はみな驚きます。バナナは、実を収穫した後は葉や枝を刈り取って土壌の養分にします。このようにして、バナナが土壌から吸い上げた養分を、土に戻してやるのです。
■ VOFAの活動の目的
 それは、土壌の健康を取り戻して持続可能な農業を実現することです。しかし、伝統的なオーガニック農法のノウハウは、ここ40年ほどの間で「緑の革命」によってほとんどが失われてしまいました。
■「緑の革命」がもたらしたもの
 1960年代、インドのほとんどの農家で化学肥料や農薬が使われるようになりました。 始めのうちは、綿の収穫量が飛躍的に増大し、非常によい効果があるように見えました。ところが、化学肥料や農薬は大変高価な上(農家は借金をしなければ買うことができません)、しかも化学肥料を多用するようになると、土壌の本来の養分が失われてしまい、年々肥料の使用量を増やさなければ作物が育たなくなってしまうのです。
 農薬の方も、年が経つにつれて最初の成果が得られないようになっていきました。農薬を撒くとワタキバガやコナジラミのよな害虫ばかりでなく、キリギリスやテントウムシなど害虫の天敵も殺してしまいます。害虫は何度も農薬を撒くうちに耐性を身につけてしまいます。そのため、同じ効果を得るためには毎年農薬の散布量を増やしていくしかありません。
■ 増え続ける農薬量、減り続ける収穫量
 こうして、農民達は増え続ける農薬量と減り続ける収穫量に苦しむことになりました。やがて、農薬の使用が(農民達の)健康を害することや、作物に残留してアレルギーを引き起こしたり土壌を汚染するという問題点が明らかになり、農薬使用に反対する市民運動が起こりました。
■ 更なる打撃の「H4」
 「緑の革命」と共に伝統的なオーガニック農法に打撃を与えたのは、1976年にインドの科学者が開発した「H4」と呼ばれるハイブリッド種の登場です。2種類の違う品種を掛け合わせることで、収穫量が最大300%も増大するという新たな品種が生まれたのです。
 しかし、このハイブリッド種のコットンは、在来種に比べて害虫の攻撃に弱かったため、農薬の散布量を大幅に増やさなければなりませんでした。企業は次々に新しい品種を開発しましたが、収穫量の増加は一時的なもので、このような新品種による農業は持続可能ではないことが明らかになりました。
■ 時すでに...
 しかし、このことがわかった時には、既に多くの農民達は種苗えを会社から買っていたてめに自家採取の種を失っていた上、農薬の多用によって土壌は荒れ果て全てを失ってしまっていたのです。半年ごとに種と化学肥料を企業から買っていた農民達は、作付が悪いと借金を返すことができなくなります。マハラストラに隣接するアンドラ・プラデシュ州では、この3年間で借金返済に苦しむ農民が1,100名も自殺しました。
■ 枯れ葉剤が除草剤に....
 さらにもうひとつの重大な懸念事項である、遺伝子組換種子についてお話したいと思います。ベトナム戦争の際、アメリカの企業が枯れ葉剤を開発しました。 これが、雑草を取り除くための除草剤として、インドに導入されたのです。この除草剤は、雑草だけでなく在来種の作物まで殺してしまうため(除草剤を撒いても枯れないように)、除草剤を撒いても枯れないように遺伝子組換えされたコットンやトウモロコシ、大豆などが開発されました。アメリカの化学メーカー「モンサント」は、「ラウンドアップ」という、世界で最も流通量の多い除草剤を販売していますが、同時に、この除草剤に耐性を持つ遺伝子組換え種子を開発して販売しているのです。
■ 遺伝子組換え種子のおそろしさ
 遺伝子組換え作物の安全性には、多くの科学者が疑問を投げかけています。例えば、遺伝子組換え大豆には、女性ホルモンである「エストロゲン」が含まれているため、男性が摂取すると問題が起こります。遺伝子組換え大豆とトウモロコシを使ったベビーフード1食分を赤ん坊に与えることは、エストロゲンを含む避妊薬を8錠から10錠飲ませるのに等しいといわれています。
■ 農業で一番大切なのは種子
 翌年の収穫を得るために農業で一番大切なのは種子です。翌年の収穫を得るためには、まずその年の作物から種子を採って保存しなければなりません。遺伝子組換植物は、在来種とあっという間に交配してしてしまい、在来種は次世代の種子を残さなくなってしまいます。
■ 自然交配の後...一気に遺伝子組換え種子の汚染
 たとえ自分が在来種だけを栽培していていても、隣の畑で遺伝子組換種を栽培していれば、花粉の飛散によって自分の種子も汚染されてします。汚染の度合いは、1シーズンにつき6平方メートル程度で、あまり大きな範囲には思えないかもしれませんが、もし私がこの汚染に気付かないままその種子を翌年植えてしまうと、遺伝子組換作物は一気に畑に広がってしまうのです。こうして在来種の種子が全く失われてしまうと、農民は種子を毎年、種苗会社から買い続けなければなりません。
■ 安定注文のもとに.....
 VOFAは、日本のフェアトレードカンパニーが毎年安定した注文を約束してくれたことで、本当の意味で持続可能な農業を実現することができました。取引を始める際、情報を包み隠さず提供するという透明性の確保を約束しましたが、フェアトレードカンパニーはそれを守ってくれてい ます。私たちのオーガニック・コットンによる製品を買ってくださる皆さまにも、農民を代表して御礼を述べたいと思います。
■ 昔ながらの農法で子どもらに受け継ぐ大地
 皆さまの支援のおかげで、私たちは昔ながらの農法を蘇らせ、子どもたちの世代に、汚染されていない畑を残すことができるようになったのです。 生産者と消費者とが力を合わせて、多国籍アグリビジネスに対抗し、オーガニック・コットンのような持続可能な農業を支えていきましょう。

(情報提供 グローバル・ヴィレッジ)

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2002年7月6日(土)午後1時〜3時
名古屋市中区役所ホール 集会後栄周辺パレード
署名活動もしています。詳しくは、中部よつ葉会まで。052-937-4817(FAX:052-932-8234)

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