風"s・風のたよりオンライン版


2010/1/10 No.156

風のたより156号

 昨年2009年6月7日にたちあげた「名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会」
 どうして、どのような思いで、今この運動を起こし始めたのかここに経過を、シャプラニール「もうひとつの南の風」に掲載して頂いた寄稿分より転載します。

私の夢
「名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会」物語のはじまり
フェアトレードショップ 風“s(ふ〜ず)土井ゆきこ

★ 夢、その1 / 48歳 生涯現役で暮らすために…
 1996年、「愛知県女性総合センター(ウィルあいち)」が名古屋市東区にオープンしました。新しい5階建てのその1階に「フェアトレードショップ 風の交差点 風"s(ふ〜ず)」は生まれました。48歳。家族は夫と息子3人。レジスターの使い方もわからないままのスタートでした。
 三男が幼児園に通うころからパートタイムで働くようになり、やがてフルタイムに。「フェアトレード」という言葉にであったきっかけである「女性起業家セミナー」を受けつつ、「生涯現役で働くことができたらいいな。またその仕事が社会に役に立つことができたらいいな」と夢見ていました。そして、たまたま「ウィルあいち」のテナント公募があり応募、「共に生きる」をテーマに合格し、今があります。
 植物も動物も人間も、今までの命の流れのなかに生き、今また同じ時間を生きています。
 自然に添って生きる、命に添って生きることができたら、すべてのものが調和して生きられるでしょう。しかし現実はほど遠い。そのなかで出会った「フェアトレード」という一本の道は私を救ってくれました。どうしたらいいのかわからず、悶々とする心に明かりが見えたのです(フェアトレードは「オルタナティブトレード」「民衆交易」「コミュニティトレード」「倫理的な交易」といろいろな表現をされています)。
 店は今年(2009年)で14年目を迎えました。スタート当時、中部地方ではフェアトレード専門店はなく、もの珍しさもあり、新聞・ラジオ・テレビ・雑誌とずいぶん取材をして頂きました。やがて、自然食品店や自然食レストランでもフェアトレードの商品が扱われるようになり、他にフェアトレードの店もポツリポツリと誕生しましたが、消えた店もあります。

 一般の消費者と小売店の関係はといえば、購買が増えているとは言い難い状況です。フェアトレード団体が成長しているのは、大きな会社や団体、百貨店や大型店、流通組織が扱うようになってきているからで、小売店が思いをもって立ち上げても、今の流通の仕組みの中、何よりも消費者の意識がまだまだ育っていない中の経営が難しく、継続も難しい状況です。

 メッセージを発信する店(フェアトレードはまさにぴったりの拠点です)が継続できるよう、消費者の立場でのサポートも必要ではと思います。店主のさまざまな努力は勿論ですが。

 講演依頼もあります。当初は生涯学習センター関係が中心でしたが、教育関係では大学・高校・中学、そして最近は小学5・6年と年齢が下がってきました。また、学生さんが学園祭でフェアトレードをPRしたり、卒論のテーマにとしてとりあげたりしています。教育関係は、比較的早くから海外協力のような世界に視野を向け、また環境問題への取り組みも始まったという印象を受けています。

〜フェアトレードショップで発信〜

 まずは知ることから始まります。そのきっかけは、美味しい食べ物、飲み物、きもちのいい素材の衣類、こころの仕事のような手づくりの雑貨、これらが語りかける文化と私たちが失いかけているこころ。フェアトレードショップで発信されたメッセージが広がります。共に生き、生かされていることを知ることから始まる自然に添った、命に添った生き方の発信です。
 環境と人権を犠牲にした、私たちの飽くことを知らない「豊かな生活」への欲求を前にして、人と人のつながりの温かさを感じる買い物に幸せを感じられる、そんな暖かさがくるくる、くるくる、命がつながり、めぐっていることを、フェアトレードを通じて発信していきたいと思っています。

★ 夢 その2 / 60歳で開いた人生の扉はピースボート
 2008年5月14日、横浜港からピースボートによる地球一周の船旅に出ました。
 出発のその瞬間まで信じられなかったけれど、確かに私は洋上の人となり、19カ国24の港に降りました。(旅のたよりは、ホームページにオランダまで掲載しましたが、ノルウェーに入るところで報告は終わってしまいました………)。アイスランド、グリーンランド、ニューヨーク、グァテマラ、パナマ、メキシコ、カナダ、アラスカと旅は続き、同年9月4日に帰国。114日の旅は終わりました。
 今でも信じられない思いと、夢は叶うという気持ちが交差しています。旅を終えた時の気持ちは「ま〜るい地球をひとつ、こころに入れた」そんな思いでした。

 現役でありながら3カ月あまりも店をあける決断はなかなかしがたく、まず夢である世界一周をしたいこと、60歳という節目にいままで出会った人にすべて感謝し新たな出発をしたいと思ったこと、店を次につなぐべき試みをしてみることなどの思いを確認し、気持ちを集中させました。

 1年がかりで準備、出発の数カ月前でも、まだ旅に行けるという人員体制ではありませんでした。が、不思議にぎりぎりの時間で10人態勢が出来上がって、その見事なチームワークで私は北周りの船上の人になることができました。改めて感謝しています。感謝しきれないくらいに感謝しています。

★ 夢 その3 / 70歳にむかって開く扉は「名古屋がフェアトレード・タウン」になること
 今の私の夢は、名古屋がフェアトレード・タウンになることです。
 5〜6年前に世界にあるフェアトレード・タウンの話を聞いた時は、この地、名古屋では全く夢の話、遠い世界でした。

 しかし、今年(2009年)の2月東京で(財)自治体国際化協会(CLAIR)市民国際プラザ主催「フェアトレードを通じた自治体・NGOの連携の可能性をさぐる」に参加し、フェアトレード・タウンにするためには、自治体とつながること、またコミュニティの力の必要性を感じました。
 3月に同協会開催の「フェアトレード・タウンとは〜フェアトレードで町おこし?」と題した、NPO法人フェアトレードラベル・ジャパンの事務局長 中島佳織さんによる講演会にも参加してきました。

 世界に645ものフェアトレード・タウンがあると知り、また2008年秋にロンドンもフェアトレード・タウンになったと知って驚き、勇気をもらいました。 そして今はその夢を紡ぎたいと思い始めています。そして今年(2009年)の6月7日には「名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会」を立ち上げました。

 今私たちが失った環境とコミュニティに新しい息吹を吹き込む「フェアトレード・タウン構想」、環境と人権に深くかかわるフェアトレードを広く皆さんに知っていただくためには、行政・企業・学校そして地域市民が連携してフェアトレードを推進していく取り組みが必要です。フェアトレードは、買い物するという日常生活から、具体的な品物を通して、世界のことを知るきっかけを得ることができる、とても貴重なツールだと考えます。

 名古屋で2010年10月に開かれるCOP10の国際会議の開催に向け、行政の人たちとつながりながら、「生物多様性とは」を考え、日常生活のなかで行動を呼びかけたいです。フェアトレードは、体で食べて美味しい、着て気持ちがいい体感し、また世界に思いを馳せながら、地元の暮らしを改めて考える、わかりやすい、よいきっかけになります。いろいろな人に世界の人とのつながりを語りながらフェアトレードの話をすることで、地域がつながっていきます。

 フェアトレードの商品から語られる物語により、人と人とのつながりができ、生活環境から、世界の環境問題・人権問題まで見通して考えられるようになったら、その時人のこころは、やわらかく、あたたかくなります。消費者が変われば、行政も企業も変わっていかざるを得ません。環境・人権に配慮する賢い消費者になることで、本来の人の姿を取り戻すことでしょう。
 買い物という、いちばん身近で、また選択という投票権で、先進国の私達の行動は、世界の平和への道を拓くことができます。

〜名古屋をフェアトレード・タウンにしよう会のマーク「○蜂マーク」に私たちの思いを託す〜

 名古屋市の市章は、○のなかに八の字のマークです。その八(ハチ)を、Bee=蜜蜂にしてみました。農薬などによる生態系の破壊のなかにいる私たち、その私たちの姿はいまの蜂の世界であるかもしれません。

 脳が侵され、巣にもどれない蜂たち。「なんとなくそうなっていることが、ずっとそうあり続けると無邪気に思っていたのだ。作物に花が咲けば自然に実はなるだろうと」と『蜂はなぜ大量死したのか』に記されているように、私たちは現状に無邪気すぎるのかもしれない。
 蜜蜂のコロニーは女王蜂に支配されているのではなくコロニー全体が他の高等動物を恥ずかしくさせるほどの並はずれた知性だそうです。
 一人ひとりフェアトレードのメッセージを持って、蜜蜂をイメージして名古屋中を飛びまわりたい。人と人をつなぐ花粉をもって、世界の人とつながり平和の蜜を生み出す夢をもちながら語り合いたいと言う思いを託しています。
〜フェアトレード・タウンになったら!〜
  • フェアトレードの商品を手にすることから環境・人権問題に関心を寄せる
  • 教育の場にとりあげられ、子どもたちに伝えることができる
  • 子どもたちの進学・就職時に命を大切にする道を選ぶ
  • 商店街も元気つけられる(推進する会などがフェアトレードのイベント企画する)
  • 地産地消もあわせて広がる。地域のものも同じ考え方で大切にする。農業が発達する。
  • 日本の各都市にも広がり、日本中にフェアトレードが広がり、やがて社会も変わる。
  • 社会が変わると、命を大切にする日本になる。
  • 名古屋が注目され、観光や視察などの訪問もあり、経済的にも発展。地元に誇りを持つ。
  • 本当の意味での環境都市になる。
  • フェアトレード商品を扱わないと時代遅れという意識になり、ますます広がる。
  • 消費者として賢くなり、企業を育てる。健全な企業の発展を促す。
  • 各区にフェアトレード専門店の必要性が生じ、より買いやすくなる。
  • 世界の文化を知ることになり日本の文化を再認識する。
  • 意味ある買い物をすることに喜びを見出し元気になる。
  • 子どもたちへの未来が見える。「頑張ったんだよ」と語ることができる。
  • 大人の世界が子どもの世界に反映。競争社会ではなく協働社会に。大人が楽しく元気なら、子どもたちもいじめや差別が少なくなる。
  • 企業のCSRもフェアトレード採用で大いに躍進する。
  • 拝金主義から、本当に価値のあるものを見る、見抜く社会に変わる。
  • 手づくりの生活を大切にし、使い捨て文化がなくなる。
 フェアトレード・タウンになるためには、専門店ではない様々な店(喫茶・雑貨・衣類・薬局・美容院・歯医者・レストランなど)にフェアトレードの商品を数点置くことが必要になります。名古屋200万都市で小売店210店、外食店105店が必要条件となります。 これらの店でフェアトレードの品物が皆さんの目にとまり、店主の説明でフェアトレードが広がります。その店も環境問題や人権問題に関心のある、高感度な店として一目置かれるでしょう。
〜あなたの町でもフェアトレード・タウンを起こしてみませんか?〜
 行動の過程に大きな意味があり、参加する一人ひとりにとってもそれは大きな意味があると思います。思いがはじまると、不思議と行動するための情報が入ってきます。いつしか広がってきた「100万人のキャンドルナイト」のように、日本中の各地で、フェアトレード・タウン運動が、じわじわと心に沁み入るように伝わったら素敵ですね!

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