風のたより102号
映画は素晴らしい!
9月はあいち国際女性映画祭が開催され、11本も見た私にとって映画の月でした。■ 「キャラバン Himaraya」エリック・ヴァリ
フィリピン映画「母と娘」(風のたより100号)、モロ民族の宗教紛争を描いた「光あらたに」が良かった。9月8日にドイツ・バイエルン州の自宅で亡くなったレニー・リーフェンシュタールさんの映画「ワンダー・アンダーウォーター原色の海」と「アフリカへの想い」二本は、映画祭で9月4日に見たばかり。レニさんの存在を知った私は彼女に心を射抜かれた。早速、レニさんの「回想」上下 文春文庫を手に入れることが出来、普通の人の数十倍も生きたレニさんの姿を読みつつある。彼女は世紀を超えた女性監督の祖、1936年ベルリンオリンピックの記録映画「民族の祭典」他4本の映画監督、女優としての主演は7本、監督と兼務している映画もある。
そして、昨日9月28日横浜で「キャラバン Himaraya」を見たばかり。
■ 3ヶ月分しか収穫できない麦http://www.cinematopics.com/cinema/new2000/caravan/ ネパールに長く暮らすフランス人の監督が、チベットに近いドルポの村の人たちの出演でつくられた映画、女性一人だけが俳優さんで、全員ネパールの人。物語は、ヤク(ヒマラヤ山脈に住む)が土けむりをあげながら目の前を通り過ぎるところから始まる。何十頭のヤクにチベットから塩を積み、一冬過ごす麦を手に入れるヒマラヤを越え塩を売って麦を手に入れなければならない村人の話を、経験とまじないから村人を導く長老と、まじないに疑いを持つ若人との生き方の衝突をからませて話は進む。
自然を背景に村人の生きる姿にサウンドトラックの音楽がたまらなくいい!!
チベットの読経にからませた音楽はこの映画を精神的に深いところに連れて行くような、不思議な音楽。音楽はブリュノ・クーレ。
麦の畑にたたずむ長老は孫に「この麦は村人が食べる3ヶ月分しかない」と言う。それ故にネパールの山を越えて行かなければならない村人の運命がある。■ 終わってもそのまま泣かせて欲しい
フェア・トレードを商品と共に情報発信をする通販カタログvol.8にネパール映画情報として掲載され初めてしった映画「キャラバン」紹介写真のヤクに乗った子どもの日焼けした顔が印象的だった。子どもながら自然のなかで生きている顔。いつかは見たい映画だった。今回「地球市民かながわプラザ」(横浜・本郷台)で「映画からみる国際協力 "フェア・トレード"」と題しての企画に参加した。参加費500円の映画を横浜まで見に行ったわけです。
映画はある場面、つまり「泣かせ」の場面で涙が出るというのは普通だが、不思議なのは、一つ一つ泣く場面があるというのではなく、過酷な自然の中で生きる人々の姿に、特にどの場面で・・・ということなく、涙があふれる。終わってからもとても立つ気にはならなくて、そっとしておいて、泣かせておいて欲しいという、単なる余韻ではなく、体と心と全部がどうにも泣きたいという私でした。今もサントラCDの音楽を聴きながら、また地球の自然の中に生きる人々の存在を映像で知った私のこころはまた泣きたくなるような思いです。フランスでもロングランだったそうで、ネパールでも3ヶ月上映されたそうです。これは珍しいことだということです。■ ネパールの映画
ネパールは映画を作るという歴史も浅く、1951年に反ラナ体制の思いを込めてインド在住のネパール人がカルカッタでつくった映画がネパール語でつくった「サッテラ・ハリスチャンドラ」が第1号で、ネパールの映画はインド映画の影響が強かったけれど、最近では映画を通じて問題解決を求める「ヌマフン」が福岡の映画祭などで上映されています。■ ナビン・スッバ監督の話(VERDA vol.8より「ヌマフン」の映画監督)
「現在の多くのネパール映画は、ネパール社会をそのまま映し出すことができていません。一番の関心事は、いかにその状況を盛り込んでいけるかということ。それなくしては、インド映画にも対抗していきないでしょう。現在の反政府勢力(マオイスト問題も貧困から起きています。1990年の民主化が成熟しないこと、民族問題(特に、25%を占めるアウトカーストの問題)、と女性問題です。ネパール200年の歴史の中で、そのアウトカーストの人々は常に虐げられてきました。マオイスト問題が解決したとしても、同様の問題が出てくるでしょう。映画にかかわる人たちも、このようなことをよく考え、文化的側面から改善に向けて取り組たいと考えています。ネパール映画を真剣に考えている人々は、すべての民族が一様に扱われ、彼らが持っている問題が、映画を通じて理解されるようになって初めてそれらの問題も解決されていくと考えています。■ 映画から知るネパールの人々の暮らしと「フェア・トレード」
同じような話は以前聞きました。ネパールのヒマラヤの山近くバジュラ村での話。ウーマンクラフト代表のシャンティさんの話を聞いた時も、1年間暮らしていけるだけの収穫がない村の貧困生活の状況からの脱出の一つとして、手漉き紙の生産をできるように指導し、販路もネパリバザーロなどのフェア・トレード団体を通じて、現金収入をもたらした。(風のたより79号)■ 今、ネパールの反政府勢力マオイストは?
映像から知るネパールの暮らしが、フェア・トレードという選択でつながって行くこともできるということを知った、映画のすばらしさを改めて感じた9月でした。
平和交渉が暗礁に乗り上げ、行動に出たマオイストのことは新聞でもチラリと報道されていますが、私たちの関心は?マオイストは今まで地方で活動していて(残虐な行為もあり)、首都カトマンズではあまり影響はなかったようですが、最近の話として働くことの制限、ゼネストのようなことを指示し、交通機関がストップし、工場などは生産できず、商店は営業できない…、そんなことが今起きているそうです。従わない者は犠牲になりかねないので従います。観光客が遠のくということは経済はますます悪くなります。
フェア・トレードの生産者たちも工場へ出勤できない状況もあるわけです。大変な状況を、ネパールへの援助一番の出資者である日本はどのように見守るのでしょうか? 私たち一人一人もおおいに関心をもちたいと思います。